2014年第3回定例会一般質問(9月19日)

【質問者:道下大樹】
 次に、人口減少問題と新たな高校教育に関する指針についてです。

<人口減少問題と新たな高校教育に関する指針について>
1.人口減少問題への対策と教育について

 知事は今定例会のわが会派の代表質問に対して、人口減少問題に対する総合的な取り組み指針の策定に向けて、自然減と社会減の両面から取り組む人口減少の進行の緩和と、人口減少により地域に生じる様々な課題への対応という二つのテーマを柱に検討を進めている、そのための必要な対策を総合的に示していく、と答弁されました。

 私は知事が述べられた二つのテーマをイメージしたとき、答弁で示された対策はもちろん必要ですが、その中では挙げられなかった、重要なのに欠けている対策・分野があると感じました。それは教育、特に高校についてです。

 高校進学率がほぼ100%の現代において、子どもを自宅から出来れば近くの高校に通わせたいと思う保護者が多いのではないでしょうか。もし子どもを持つ家庭や将来子どもを持つ予定の世帯ならば、住居や勤務地を検討する場合、公共交通や商業・医療施設が整っているか、小中学校が近くにあるか、そして容易に自宅通学できる範囲に高校があるかなどを条件に考えるはずです。

 そこで、人口減少問題への対策における教育施設の役割、特に高校の役割について知事の所見を伺います。

【答弁者:総合政策部長】
 人口減少問題と高校教育などについてでありますが

 人口減少問題が急速に進行する中、地域に人口が定着するためには、就業の場の確保などとともに、住民の方々が安心して暮らせる環境づくりが必要と認識。

 道としては、高校教育など、本道の未来を担う子どもたちに対する教育環境についても大変重要であると考えており、道教委と連携し、人口減少問題への対応の観点から、教育環境の充実に向けて、必要な検討を行ってまいる考え。

【道下大樹】
2.道教委の「新たな高校教育に関する指針」について

 私は、人口減少の進行を緩和する対策の一つに、若者と若者がいる世帯の流出を防ぐため、その自治体、地域にある高校を存続させること、そしてその役割を充分に発揮して活用していくことが挙げられると思います。

 しかし残念ながら、道教委は2006年に「新たな高校教育に関する指針」を策定し、これから高校進学を予定している子どもや世帯のことよりも、高校が地域で果たしている役割や自治体からの高校存続の強い要望よりも、1学年4~8クラスが望ましい学校規模だとか、地元からの入学者数が少ないだとか、財政的に厳しいだとかを理由にして、特に小規模自治体にある道立高校を次々と縮小、統廃合しています。

 今後も人口減少、特に年少者の人口が減少し続ける状況が予測される中、道教委が指針通りに高校の配置計画つまり縮小・統廃合を実行すれば、道内の自治体の人口減少にますます拍車がかかり、道の人口減少問題に対する総合的な取り組み指針による対策の効果は大きく失われると思います。

 そこで、道教委の「新たな高校教育に関する指針」とそれに伴う高校配置計画による縮小・統廃合の関係自治体への影響について、知事ならびに教育長に所見を伺います。

【答弁者:知事病欠のため副知事】
 高校の配置計画などについてでありますが

 道教委においては、平成18年に策定した指針に基づき、教育水準の維持向上に向けて、新しい高校づくりや具体的な高校配置計画の策定を行い、高校の再編整備を進めてきていると承知。

 こうした中、道に対しても、関係市町村などからは、高校の廃止・統合に伴い、教育や文化だけではなく、経済や産業など地域の衰退が懸念されると意見が寄せられ、また、地元の高校は、地域と連携した特色のある教育活動を展開していることから活力ある地域社会を維持していく上でも存続してほしいとの要請をいただいているところ。

 人口減少問題への対応が地域の重要課題となる中、高校の再編整備に当たっては、地元市町村や教育関係団体などのご意見を伺い、地域の実情などを十分考慮しながら、適切に進められることが大切であると考えており、私としては、こうした考えの下、道教委と連携しながら生徒の教育環境の充実が図られるよう、努めてまいる。

【答弁者:教育長】
 高校配置計画などによる影響についてでありますが

 高校は、生徒や地域の実態などに応じて特色ある教育活動を行うとともに、文化・スポーツ活動といった生涯学習の場にもなるなど、その存在は重要であり、再編整備を行うことは地域に対して少なからず影響を与えるものであるが、一方で、教育的観点からの望ましい学校規模を確保し、教育水準の維持向上を図っていくことも必要である。

 こうしたことから、現行の「指針」では、中学校卒業者数の減少に対応し、一定規模の生徒や教職員による活力ある教育活動を展開する観点から再編を進めるが、他の高校への通学が困難な場合などには、地域キャンパス校として教育環境の充実を図るなど修学機会の確保に努めることとしている。

 道教委としては、高校が果たしている役割など、道内のそれぞれの地域ごとの実情等を十分考慮しながら、適切な高校配置になるよう努めてまいる。

【道下大樹】
3.地域の魅力づくりにむけた大学などとの連携について

 たくさんの若者に来てもらうために大学キャンパスを誘致するという方策は、大学全入時代に突入し、年少者人口が減少している現代においては大変難しくなっています。

 そんな中、現在、いくつかの自治体では、運動部や体育会系サークルの合宿、ゼミ合宿などの誘致活動に取り組んでおり、一定の効果・成果を上げていると承知しています。

 さらに市町村は合宿を誘致するだけではなく、合宿などでやってきた学生とその地域の住民や団体とが意見交換や交流する場を設け、町おこしや地域の魅力づくりになるアイディアを出してもらったりしていますが、今後はそれらに加えて、その地域を知って興味関心を持ってもらい、出来ればそこで就職して住んでもらうという移住・定住を促進する活動にも積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。

【答弁者:総合政策部長】
 地域と大学との連携についてでありますが

 道では、これまで、スポーツ合宿や音楽合宿、さらには、ゼミ合宿等の誘致により大学生と地域との交流の場の形成に向けた様々な取り組みに対し、地域づくり総合交付金を活用して支援してきたところ。

 また、それぞれの振興局においても、地域や都市部の大学の協力を得て、地場資源を活用した高付加価値商品の開発とブランド化、地域のイメージ情報発信などに取り組んできたところ。

 道としては、今後とも、地域の魅力づくりはもとより、こうした地域との関わりを通じて、移住、定住にもつながるような大学などとの連携の取り組みを促進してまいる考え。