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本日8月3日に開催された新幹線・総合交通体系対策特別委員会の議事ならびに質疑、質問の概要をお伝えいたします。
私は「第3回地域公共交通検討会議の開催に関する報告聴取の件」「JR北海道による事業範囲の見直し等に関する報告聴取の件」を合わせて質疑しました。詳しい質疑応答については下部に掲載しています。

●議事
1.「北海道新幹線 後志トンネル(北上沢)他工事安全祈願」出席報告の件
 報告者:委員長

2.第3回地域公共交通検討会議の開催に関する報告聴取の件
3.JR北海道による事業範囲の見直し等に関する報告聴取の件
 報告者:交通政策局長
 質疑者:花崎勝委員(自民)
     道下大樹委員(民主)
     赤根広介委員(結志)

4.日ロフェリー航路の運航再開に関する報告聴取の件
 報告者:物流港湾室長

5.「丘珠空港の利活用に関する検討会議」に関する報告聴取の件
 報告者:航空局長

6.道内空港の運営の民間委託に係る取り組みに関する報告聴取の件
 報告者:空港運営戦略担当局長

7.新千歳空港における24時間運用に関する報告聴取の件
 報告者:新千歳空港周辺対策担当局長

○その他質問…なし

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<質疑者:道下 大樹>
一 JR北海道による事業範囲の見直し等について
 それでは私からも、第3回地域公共交通検討会議の開催に関する報告、それからJR北海道による事業範囲の見直しに関して、何点か質疑をします。

(一)JR北海道の今回の説明に対する道の認識について
 JR北海道の島田社長が7月29日に会見で公表した「持続可能な交通体系のあり方について」の内容について、これは沿線自治体に対して様々な方法による負担を求めるものでありまして、私はあまりにも唐突で拙速な提案と受け止めております。まずこの点について、道はどのように認識しているのか伺いたいと思います。

〔交通企画課長〕
 JR北海道の事業範囲の見直しに対する道の認識についてでありますが、JR北海道においては、鉄道特性が発揮できない線区については、JR単独での維持は困難として、今後、交通体系のあり方について、地域への相談を開始するとの方針を発表したところでありますが、対象となる線区や今後の進め方などが明らかになっておらず、地域住民や沿線自治体の間に不安や不満が高まっているものと考えています。 
 JR北海道は、昨年度4期ぶりの経常赤字を計上し、更に今年度は175億円の経常損失を見込むなど極めて厳しい経営状況にあるものと認識していますが、今後とも見込まれる巨額の経常赤字を「線区の見直し」だけで解消しようとすれば、本道の公共交通ネットワークに非常に大きな影響を与えることになると危惧しているところであります。

<道下>
 道も地域住民に不安が高まっていると受け止めているとのことで、これは「はい、そうですか」と言えるものではないとの認識かと思います。
(二)知事とJR北海道社長との会談内容について
 次に、知事は29日の記者会見を受けて、8月1日に島田社長と会談したわけでありますけれども、その会談内容について伺います。
 また、先ほどJR北海道の自助努力について説明と答弁がありましたが、知事はその会談の中で、人件費の削減を含めた自助努力が大前提だと発言したと聞いているのですけれども、その事実確認と、真意について伺います。

〔交通企画課長〕
 JR北海道の島田社長との会談内容などについてでありますが、去る8月1日に行われた会談では、島田社長から、今後、秋口までに「JR単独で維持可能な線区」と「JR単独では維持が困難な線区」について、JRとしての考えを示した上で、準備が整い次第、地域の交通確保を前提に、地域との協議を開始することについての説明があったところでございます。
 これに対しまして、知事からは、事業範囲の見直しを拙速に行うことなく、道や沿線自治体など関係者の意見や地域の実態を十分に踏まえ、慎重に対応するよう申し入れを行い、島田社長からは、地域の公共交通としての使命を強く認識し、まずは地域の皆さんに丁ねいに説明し、ご相談していきたいとの回答があったところであります。
 また、人件費の削減につきましては、地域に大きな影響を及ぼすことが予想される見直しについて、道民の理解を得ていくためには、徹底した管理コストの削減など、JRの自助努力が必要との考えに基づき、一つの例示として発言したものと考えています。

<道下>
 知事は徹底した管理コストの削減の一つの例示として発言されたというわけですけれども、知事はこの道庁において、道職員の給料の独自縮減を続けてきて、ついこの前、昨年度一部縮減をやめたわけであります。
 ただ、この中で知事は定例議会においても、その職員や家族に多大な負担や困難を与えてしまったということで、そういった答弁をされたわけであります。株式会社であるJR北海道でございます。もちろん、そういった人件費の削減ということも一つの自助努力かもしれませんが、給料を削減・縮減したために、どれだけの影響があるかということも知事は十分承知、認識されていると思います。ということで、今後、自助努力の一つの管理コストの削減、その一つの人件費の削減というものが大きく独り歩きしないよう、道もしっかりと慎重に発言されるべきと指摘をしておきます。

(三)JR北海道が言う「経営を取り巻く環境の変化」について
 JR北海道は経営を取り巻く環境の変化として、高規格道路網や航空路線網の整備を挙げています。たとえば高規格道路網が整備され、自家用車や高速バスの利便性が高まり、利用客が増えたことは確かではありますけれども、それがJR北海道の経営にどれだけ影響したのか、更なる情報公開と分析が求められるわけでありまして、幾つかの路線はやはり、JR北海道の路線が中核を占めているわけであります。
 JR北海道が挙げた経営を取り巻く環境の変化について、この点について道はどのように認識しているのか伺います。

〔交通企画課長〕
 JR北海道の「経営を取り巻く環境の変化」についてでございますが、近年、道内では、高規格幹線道路網の整備の進展に伴いまして、都市間バスの利便性が向上しており、札幌と道内主要都市間における交通機関ごとの利用者の推移を比べますと、鉄道や航空機が減少する一方で、都市間バスの利用者が着実に増加しているものと承知しております。
 一方、交通機関別の利用者の割合を見ますと、都市間バスの利用者が増加している中にありましても、未だ鉄道の利用者の割合が最も多い状況にありまして、現在でも、道内の主要都市間の人の移動は、鉄道が中核的な役割を担っているものと考えているところであります。

<道下>
(四)経営安定基金について
 30年前に国鉄を分割民営化する際に経営安定基金が設置されまして、当初の予定では約7%の金利があって、そこで運用益が出て、それでJR北海道の赤字分を穴埋めするという計画、計算でありました。
 しかし、現状、日銀によるマイナス金利政策もあって、金利も大幅に下がっておりまして、運用益が当初想定した状況と非常に乖離をしているわけであります。この経営安定基金、今の状況、システムでは役割を十分に果たしていないのではないかと考えるわけです。経営安定基金の制度の現状について認識を伺うとともに、さらなる基金の積み増しや取り崩しによる、大規模で抜本的な対策を講じるべきではないかと考えますが、道の認識を伺います。

〔交通企画課長〕
 経営安定基金に関する道の認識についてでありますが、国では、旧国鉄の分割・民営化に際し、JR北海道など、いわゆる「三島会社」は、会社発足当初から赤字が見込まれたことから、JR北海道におきましては、6,822億円の経営安定基金を設置し、その運用益により経営基盤の確立を図ることとしたところでありますが、その後の金利低下により、基金の運用益は想定を大きく下回っているものと認識しています。
 このような中、国におきましては、数次にわたる支援を行ってきたところでありますが、金利水準の極めて低い現在の経済状況を考えますと、基金の運用益は当初の想定どおりには見込めない状況にあるものと考えています。
 道といたしましては、JR北海道の経営再生に向けまして、貨物列車の走行に伴う負担など本道固有の負担の軽減や無利子資金の返済猶予などといった対策を講ずるよう国に求めてまいる考えでございます。

<道下>
(五)JR貨物の線路使用料について
 今のご答弁でJR貨物の線路使用料負担についての答弁がありました。先日行われました地域公共交通検討会議においても、それについての意見があったと承知しております。JR貨物からJR北海道に支払われている線路使用料について再考する、見直す必要があるのではないかという提言が出されたとのご報告がありました。
 JR貨物の線路使用料の負担が増えれば、今度はJR貨物の経営に影響したり、北海道の多くの生産物であります農産物等の輸送量、製品価格の上昇に繋がって、本道経済にブレーキをかける恐れがあるのではないでしょうか。JR貨物の線路使用料についての道の認識を伺います。

〔交通企画課長〕
 JR貨物の線路使用料に関する道の認識についてでありますが、昭和62年の国鉄分割民営化の際、JR貨物については、貨物列車の運行のみを行う第2種鉄道事業者として位置づけられたところでありますが、JR旅客会社に支払う線路使用料は、JR貨物の厳しい経営状況を考慮して貨物列車運行による上乗せ経費相当分のみとする、いわゆる「アボイダブルコスト」ルールが全国一律で適用されておりまして、JR他社と比較して貨物列車の走行割合が大きいJR北海道におきましては、その負担が重荷となっていると考えているところであります。
 道といたしましては、JR北海道の極めて厳しい経営状況や本道の特殊性を踏まえますと、現行の「アボイダブルコスト」ルールについては見直すなどの対策が必要と考えており、国に対し求めてまいる考えであります。

<道下>
 只今の答弁で、現行のアボイダブルコストルールについては、見直しなどの対策が必要と考え、今週中に道から国へ要請をするとうかがっていますので、その中に含まれているのかと思いますが、JR北海道にとっても、JR貨物にとってもお互いの経営安定に資する見直しとなるよう求めてまいりたいと思っております。

(六)北海道交通ネットワーク総合ビジョンについて
 道は、様々な環境変化に伴う課題に適確に対応し、本道の交通を巡る動きを経済や地域の活性化に繋げるために、平成20年12月に「北海道交通ネットワーク総合ビジョン」を策定しました。そして、平成26年3月には改訂もされたわけですけれども、しかし今回、JR北海道は一部路線の廃止を含めた事業見直しを発表したわけであります。この事態は、道がこれまでビジョンで推進してきた例えば道内の高規格道路や航空路線の整備がJR北海道の経営を圧迫してきたということに繋がってきたと考えますし、このJR路線の維持について、道はJR北海道とこうしたビジョンを作成することを含めて、また日常的にも十分に腹をわった議論ができていなかったのではないか、このJR路線の維持に関してはJR北海道に任せっきりだったのではないか、と思うわけです。
 そうした意味で、道のこの交通ビジョンというものが、しっかりと実態を踏まえた、それぞれの立場を踏まえた中身になっていたのか、ビジョンとして役割を果たしていたのか、ビジョンとしては中身がなかった、計画倒れと言われても仕方がないと思うんですけれども、こうしたところで道の認識を伺います。

〔交通政策局長〕
 道の交通ネットワーク総合ビジョンについてでございますが、道では、平成20年に、交通政策の指針であります「総合ビジョン」を策定し、市町村や交通事業者など関係機関と連携をしまして、本道における総合的な交通ネットワークの形成に向けた取組を推進してきたところでございます。
 ビジョンにおきましては、鉄道は中核都市間を結ぶ幹線交通の柱として、また、地域におけます通勤、通学などの日常生活を支える重要な移動手段として位置づけられておりまして、これまで、JR北海道をはじめといたします各交通事業者や北海道町村会、市長会、関係行政機関とともに、ビジョンの進行管理に一体となって取り組んできているところでございます。
 また、昨年11月には、人口減少や北海道新幹線開業といった環境変化に対応した本道の公共交通ネットワークのあり方を検討するため、審議会の中に地域公共交通検討会議を設置したところでございます。この中にはJR北海道も構成員として入って、先ほどもご報告をしましたが、一緒に議論をしているところでございます。現在、JRの厳しい経営状況も踏まえながら、鉄道交通を含めた交通ネットワークの確保に向けて、検討を鋭意進めているところでございます。

<道下>
 この改訂された交通ネットワーク総合ビジョン、平成25年度に議論して改訂されたわけでありますけれども、3年前です。3年前に、JR北海道の経営の問題だとか、路線の維持に非常に苦慮されているということを道として知っていなければいけなかったんじゃないかなと、そのような強い思いがあるわけであります。
 そういった意味では、5年計画でございますので、平成29年度まであと1年あるわけでございますけれども、根本的にビジョンの中身を変えていかなければならないというふうに考えているわけであります。
 そういったわけで覚悟を決めて、ビジョンの次期改訂にあたっていただきたいと思うところでありますし、JR北海道のみならず、バス会社、航空会社、沿線自治体などなど、その十分な議論、腹を割って議論をして、中身のしっかりとした、状況と将来像というものが一緒になって進んでいくようなビジョンに改訂していただきたいというふうに思っているところであります。

(七)JR日高線について
 次にJR日高線についてでございます。今もなおJR日高線は高波被害で運休が続いておりますけれども、JR北海道は、国や道そして沿線自治体等による赤字解消に向けた支援がなければ再開に向けた工事はできない、運行再開もできないというような姿勢を取っていると受け止めざるを得ません。
 しかし、JR日高線については、災害復旧とそして赤字路線とは別の議論であって、もし今後、日高線ではなくて別の路線で、今も大雨で土砂災害もありますが、そういったところで災害が起きて運休したときに、JR日高線と同じようになってしまうのではないかと沿線の住民は心配するわけであります。これは違うよと、災害復旧と赤字路線は違うよと、JR北海道に対して、道はしっかりと話をしなければならないと思うんですけれども、道の認識を伺いたいと思います。

〔地域交通・鉄道交通担当課長〕
 JR日高線に係る道の認識についてでございますが、JR日高線につきましては、運行再開に向け、国、道、JR北海道による三者協議において、復旧に向けた工事の手法や財源の確保などの諸課題を協議してきたところでありますが、これまでの協議の中で、JR北海道から多額の工事費を要する復旧工事の実施にあたっては、日高線の運行再開に向けた継続的な運行の仕組みが必要との提案に基づき、昨年12月に「日高線沿線自治体協議会」が設置されたところでございます。
 同協議会では、これまで3回の会議を開催し、地元が提案した利用促進策や、日高線を持続的に維持するための方策につきまして検討を進めているところであり、道といたしましては、次回協議会の早期開催に向けて調整を進めているところでございます。

<道下>
 JR日高線の運行再開に向けては、沿線地域の住民が本当に待ち望んでいることでありますので、三者、四者でしっかりと対応して、運行再開に向けて議論して頂きたいと思いますし、先ほどの私の質問にありますとおり、日高線のようなことが再び起きないようにJR北海道に釘を刺していただきたいと思います。

(八)国に対する要望について
 国鉄分割・民営化から30年が経ちました。当時の予測が金利低下や人口減少などすでに現実と乖離しております。また、国からの支援の中で安全対策への資金的支援や融資は概ね確保されているところでありますが、今後は経営再建に向けた集中的な支援が必要となります。
 道としてどのように認識しているのか、あわせて国に対してどのような内容のことを要望するのか伺いたいと思います。

〔交通政策局長〕
 今後の国への対応についてでありますが、JR北海道におきましては、鉄道利用者の減少や、経営安定基金の運用益の長期低迷に加え、近年におけます安全投資や修繕費の急増、青函トンネルの維持管理費用の負担などといった北海道固有のコスト負担などによりまして、極めて厳しい経営状況に至っているものと認識しております。
 国におきましては、これまでJRに対し、数次にわたる支援措置を講じてきたところでございますが、今後は、鉄道施設の老朽更新などを控え、経営状況は一層厳しくなるものと見込まれますことから、道としては、JRの自助努力を前提に、青函トンネルの維持管理経費に係る負担の軽減や無利子資金の返済猶予など、抜本的な経営支援策を講ずるよう、国に求めてまいる考えでございます。

<道下>
(九)今後の道の対応について
 最後の質問になります。JR北海道は秋口までに「会社単独で維持可能な線区」と「単独では維持することが困難な線区」を示し、相談したいということを発表しました。
 今回JR北海道が提案した内容について、このまま道が沿線自治体とともに相談に応じることは、道がJR北海道とともに道内路線・区間の廃止、見直しを推進することになります。そうした対応は取るべきではありません。道はJR北海道に対して、さらなる経営状況等の情報公開と経営の改善、自助努力、そして「廃線ありき」「路線廃止を前提」とした議論や相談の提案を一度取り下げて、道や関係自治体などと議論すべきことを求めるなど慎重に対応すべきと考えます。
 またJR北海道から株主である鉄道建設・運輸施設整備支援機構、最終的には国に対して、経営安定に向けた抜本的な支援を求めるよう強く要請すべきと考えますが、道の見解を伺います。

〔交通企画監〕
 今後の道の対応についてでございますが、JR北海道においては、昨年度4期ぶりの経常赤字となりまして、また今年度は175億円の経常赤字が見込まれるなど会社存続に向けて経営改革を進めていかなければならない極めて厳しい状況にあるものと認識しております。
 こうした中、JR北海道は、さらなる経営改革に向けて鉄道を単独で維持することが困難な線区についての地元負担のあり方など、事業範囲の見直しを加速する方針を先般公表したところでございますが、JR北海道においては、徹底した経営改革を進めていかなければならない中にあっても、本道の交通ネットワークの中核を担う公共交通機関として慎重な対応が求められると考えております。
 道といたしましては、JR北海道に対し、道や沿線自治体など関係者の意見や地域の実情を十分に踏まえた対応を求めるとともに、JRの自助努力を前提に経営再生に向けた抜本的な支援を国に求めてまいる考えでございます。

<道下>
 最後に指摘をさせていただきます。
 国鉄分割民営化から30年が経ちました。この中でいろいろと社会変化があるわけであります。北海道は広大な面積を有し、人口も少ないということでもともと赤字経営が想定されたわけであります。今回、このようなJR北海道からの提案があったことは、非常に我々道民としても厳しいことだと思っているわけでございますけれども、もちろんJRのこれまでの経営努力が全くもって問題なかったかというとそうではないかもしれません。しかし、やはり行政の責任も十分にあると思います。そもそも国鉄の分割民営化というのは中曽根首相時代の自民党政権時代に進めた国策であり、これが招いた状況でありから、国の責任も重いと思います。
 私ども民進党北海道では、JR北海道問題対策委員会を設置しました。またこれでJR北海道、国、道などに対して、しっかりと議論や要望・要請活動なども進めて、なんとしても道内のJRの路線が維持されるように、私どもも一緒に取り組んでまいりますので、よろしくお願いします。

以上